月経困難症
生理痛がひどい・出血が多い
生理に伴う痛みや出血などの諸症状で困ることを月経困難症と呼びます。月経困難症患者さんは約800万人いると推測されていますが、実際は10%ほどしか医療機関を受診していません。※1 実際、日本の若年女性は欧米と比較しホルモン剤を内服している比率が低く、「生理が痛いのは当然」や「ホルモン剤≒避妊薬」のイメージが強いことに寄与していると思われます。
生理が痛い、出血が多くて困るというのは普通ではなく、医療機関で相談すべき病的状態です。月経困難症の放置は将来的な不妊症、内膜症、子宮体癌などの増加につながりますが、逆に適切な治療をすることで生活の質は劇的に改善する場合がありますので是非相談してください。
Point1適切な情報を提供します。
月経困難症で使用されるホルモン剤は更年期障害の時に使用されるホルモン剤とよく混同されますが、全く異なるものです。ネットなどでは「生理痛で気軽にホルモン剤を使うと乳がんのリスクが高くなる」など不正確な情報が横行していますので正しいホルモン剤のメリット、リスクを提供します。
Point2適切な治療を提案します。
内膜症や子宮筋腫など器質的な疾患があるかどうかも重要ですが、重要なのはホルモン状態が正常なのか過剰なのかです。過剰なのであれば小学生高学年~中学生であっても将来的な不妊症や内膜症のリスク軽減のためホルモン剤を内服した方がよいケースも多々ありますし、漢方での治療を優先するケースもあります。閉経期に近い時期であれば子宮内に留置するホルモン剤を提案することもあります。
Point3治療の強制はしません。
まずは説明を聞いていただくだけでもかまいません。Point1,2を提供した上で最終的な治療の選択は希望に沿います。
※1 2012年総務省統計局人口推移より