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経口中絶薬

経口中絶薬の歴史

海外では経口中絶薬の使用は広く行われていますが、ドイツなど国によっては経口中絶薬が使用できても、手術が圧倒的に多い国なども多く存在します。2023年5月から日本でも薬により中絶を行う方法が承認されましたので、妊娠9週0日までの早い時期の中絶は手術による中絶か経口中絶薬による中絶かを選択できるようになりました。

経口中絶薬の実際

経口中絶薬により中絶で排出される可能性は88~93%前後で、排出されなければ従来通り手術にて排出します。日本でも開始されましたが、2023年段階ではあまり想定ほど使用されず手術が多いとの報告です。理由としては原則入院での処置となるため院内の滞在時間が手術と比較すると長いことと、結局手術になる可能性が危惧されることにあります。そこまでが表向きの話ですが、この経口中絶薬は2023年の段階では入院施設があるクリニックでないとできないというルールがあり、今まで中絶を行っている施設はほとんどで入院施設がない(日帰りの入院施設だけではできない)ため「やらない」のではなく、「できない」というのが実際です。経口中絶薬ができないクリニックではせっかく受診した中絶希望患者さんが経口中絶薬を希望したら他のクリニックにいってしまうため、経口中絶薬の情報を提供しなかったり、色々な理由をつけて手術方針にしようとします。また、薬の製薬会社からクリニックの納入価格が5万円前後と非常に高額のため電動吸引法などで中絶をしてきた施設からするとクリニックの収益が著しく低下するためやりたくないのが実情でしょう。つまり経口中絶薬がそこまで広がらないのは、クリニック側の「収益の面から経口中絶薬をやりたくない、広がっては困る」という背景が少なからずあります。

経口中絶薬のスケジュール

2023年から認可されたため今後スケジュールは変更される可能性はありますが一例として日本に導入された際に大学病院などで行われた方法と同じようなスケジュールを下記に記載します。内服してから排出されないと判断して手術までどの程度待つかはクリニックの裁量ですが、4時間の短時間であればなかなか排出はしないため、8時間程度なのか24時間きっちり待つのかはクリニックにより異なります。

⓪:診察をして、現在何週か、使用する日程を決める。
①:入院の2日前に院内で子宮の出口を広げる薬を1錠飲む。
②:入院し、子宮内から内容物を排出させる薬を使用。
③:②の使用から24時間以内に排出されれば診察後に退院。
④:排出されないもしくは排出が不十分な場合はそのまま日帰り手術。
⑤:1週間後くらいに診察して終了。

※診察なしでの日程や方法の決定はできず、②以降の入院は必須です。

~薬剤による中絶のスケジュール例~

火曜日の9時に院内で子宮の出口を広げる薬(①)を飲んで帰宅。
木曜日の9時に入院し内容物を排出させる薬(②)を使用。
24時間以内に排出されれば診察して帰宅(③)
排出されなければ入院を継続し金曜日に手術(④)し、同日帰宅。
1週間後に診察(⑤)。

経口中絶薬ができる人

経口中絶薬は1錠目を飲む日が妊娠9週0日までのため、妊娠週数が進むとできません。また、2023年の段階では流産には日本では使用できません。

  妊娠9週0日
まで
妊娠9週1日~
11週6日
妊娠12週以降
手術による中絶
(日帰り)
×
薬剤による中絶 × ×
薬剤による中絶も選択肢 

 今まで通り手術のみ(薬剤は×)

経口中絶薬か手術かの選択

どちらが優れているというわけではなく、双方によし悪しがあるため経口中絶薬と手術療法やっているクリニックの先生とどちらが適しているかを相談することが第一と思います。

  手術による中絶 経口薬剤による中絶
メリット ・ほぼ確実に半日で完結できる
・妊娠12週までは日帰りで対応できる
・手術をせずに排出させれる
デメリット ・やはり手術は怖い
・ごく稀に子宮穿孔など手術、麻酔に伴う合併症がある
・妊娠9週以降はできない
・事前の内服から排出まで3日かかる
・排出されないと結局手術が必要
・排出までずっと痛みや出血がある
向いている人 ・上のお子さんがいたり、時間に制約が多い人 ・若年など手術に対する恐怖が耐えがたい人
・膣が異常に狭く手術が難しい人
共通 ・痛み、出血、吐き気はどちらもあり、どちらが楽はない
・手術は手術材料費が、薬剤は薬剤費がかかるため同額
(薬剤で排出されず、結局手術を行った場合は上乗せで高くなる)

当院での経口中絶薬のとりくみ

経口中絶薬が日本でも認可されたことは選択の範囲が増え、良いことだと思いますが、決して飲んだら痛みなく勝手に赤ちゃんがいなくなる薬ではありませんので実際のスケジュールやデメリットも理解した上で選択してください。また、入院施設がないとできないというルールが解除されない限りは、日帰りの入院施設しかないクリニックでは経口中絶薬が使用できないため色々な理由をこじつけられて手術という選択しか勧められません。実際日本で中絶している施設の多くで入院施設がありませんので、手術も経口中絶薬もやっている施設で相談することが一番重要です。

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