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中絶手術方法

中絶手術の歴史

日本では昔から掻爬術といって金属の器具で子宮内をゴリゴリ掻いて摘出する手術が主流でした。しかし、現在は鉄の器具が子宮を貫くリスクや手術後に子宮内がくっついて妊娠できなくなる等の影響から掻把術は行わないようにとの強い勧告がなされ、世界中で吸引法が推奨されています。

吸引法

吸引法には手動式(MVA)と電動式の2種類があります。日本では電動式が普及していますが電動式は吸引管が金属製のため子宮を貫くリスク、施行時の騒音による心理的な影響、器具の再利用による衛生面の不安などがデメリットに考えられます。
安全性や衛生面を考慮するとMVA法での手術が最適なのは産婦人科医ならばもはや常識なのですが、比較的新しい手術のためMVA法で手術している施設は限られます。MVAが浸透しない一番の原因はおそらくコストでMVAの道具はすべて1回限りの使い捨てのため材料費が0円の電動式吸引法に比べて材料費だけで数万円するMVA法は採用されないことが多いです。吸引法とだけ記載して電動式で行う施設が多いですが、実のところはクリニックの利益が優先され、患者さんの安全性が蔑ろにされている現状は残念の一言に尽きます。

MVA法 (手動吸引法)とは

MVA法の特徴はまず安全性にあります。子宮内に挿入する管がプラスチック製の柔らかいもののため子宮を貫通するリスクが低いです。加えて、吸引管、吸引器具本体、頸管拡張器具などがすべて清潔に滅菌され一つのパックになっており、手術が終わったら全て廃棄するため一人の患者さんにつき使いまわしの器具がないため非常に衛生的です。電動式だと鉄の器具をクリニック内で洗浄するのですが、非常に部品が多くしっかり洗えているかが心配です。手術のせいで他の患者さんの感染症にかかるなどのリスクは極力さけたいものです。電動式より子宮内の取り残しが多いのではとの懸念もありますが、最新の中絶のガイドラインでも完全中絶率は95-100%で電動式とMVAは差がなく確実性も実証されています。

手術方法の比較
  そうは術 電動吸引法 手動吸引法
(MVA法)
方法 鉄の器具で子宮内を
ゴリゴリかき出す
鉄の器具を子宮内に
挿入して吸い出す。
柔らかいプラスチック管を
子宮内に挿入し吸い出す。
子宮穿孔
リスク
あり あり 少ない
衛生面
静音性 ×
推奨度
(WHO)
×

当院のMVA法の取り組み

MVA法は誰でもできる方法ではなく、若干のコツがいります。技術が未熟だと子宮内に遺残を残してしてしまう確率などが上がるためMVAの原理を理解した上で行うことが重要です。当院の術者は年間400件以上のMVA手術を行い、医師対象の講習会でMVA法の指導する立場の術者です。今回が問題なく終わればよいのではなく、今後本当に妊娠を望んだ時や術後の私生活に影響が出ないよう、子宮に負荷を極力与えないように留意して行っています。

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