子宮臓器脱
「膣からポコッと何かが出ている」、「歩行時に下がる感じがする」といった症状は子宮脱の可能性があります。高齢者の方に多い疾患ですが、30歳代や産後の方でも時々あります。高齢者の方ほど恥ずかしさで産婦人科の受診をためらい、放置している方も多いです。増悪すると子宮が完全に膣の外に脱出してしまい尿が出なくなるなどの症状がでることもありますのでご相談下さい。
治療法
① 膣内へのリング挿入
ペッサリーと呼ばれるドーナツ状のリングを膣内に挿入し、下がっている子宮を正常な位置に押し上げます。リングには自分で出し入れする自己脱着式と、入れっぱなしで病院で頻回に定期交換する連続装着式の2種類があります。
Point1自己脱着式の導入ができます。
自己脱着式を初めて聞くと「自分で出し入れするなんて無理」という意見が大半ですが、実際はお尻に手が届く方であればほとんどの方ができるようになります。あまり日本では普及していませんが、欧米では主流であり、本来は自己脱着式がリングの標準使用方法です。できるようになるまで少しだけ時間がかかりますが、できるようになると病院への受診は年1回でよく、連続装着式よりおりものの出血や感染のリスクは下がります。結果として長期間、安全、快適に生活できる可能性が高くなります。
A:自己脱着式
コンタクトレンズや入れ歯なども初めからできる人は少ないですが、練習すると入るようになりその恩恵を受けられます。実際にやり方をDVDで説明し、できるようになるまで何回でもコツを指導し診察室で練習のお手伝いをします。
B:連続装着式
1日中リングを膣に入れたままにし、定期的(3か月に1回程)に病院で交換する日本で主流の方法です。入れたままなので膣の出血、感染などのリスクがAより高いのは事実ですが、Aの方法に抵抗がある方が多いのも十分理解しておりますのでご希望があればBの方法で治療します。
②手術
脱出の程度次第では手術でないと改善しないこともあります。様々な手術方法がありますが、いずれも全身麻酔と言って喉に挿管チューブを入れる麻酔が必要となるため手術可能な病院に紹介します。